旅館とホテルの違いは?旅館に1泊する価値と選び方
宿泊者の数字は観光庁「宿泊旅行統計調査」の2025年確定値です。施設数は厚生労働省の数字です。このあとは以前の法律の区分と施設数、外国人が泊まっている宿、選び方の順に説明します。
旅館とホテルを比べると
2018年までは、日本の法律でも旅館とホテルは別の営業として扱われていました。ホテルは洋式の作りが主の施設で、旅館は和式の作りが主の施設でした。客室の広さと客室数の決まりも違っていました。下の表では、改正前の決まりと別々に数えた最後の年の数、2025年の数字を並べています。
| 項目 | 旅館 | ホテル |
|---|---|---|
| 2018年6月15日より前の許可 | 旅館営業(和式が主) | ホテル営業(洋式が主) |
| 2018年6月15日からの許可 | 旅館・ホテル営業 | 旅館・ホテル営業 |
| 2018年より前の客室の最低面積 | 7m² | 9m² |
| 今の客室の最低面積 | 7m²(ベッドがある場合は9m²) | 7m²(ベッドがある場合は9m²) |
| 最低客室数 | 2018年より前は5室、今は無し | 2018年より前は10室、今は無し |
| 施設数(2017年度末) | 38,622施設、688,342室 | 10,402施設、907,500室 |
| 客室稼働率(2025年) | 38.2% | ビジネスホテル75.3%、シティホテル74.1% |
| 外国人延べ宿泊者数の割合(2025年) | 5.7% | ビジネスホテル43.6%、シティホテル27.4%、リゾートホテル8.3% |
| 物価指数で値段を調べるプラン | 和室・2食付き | 洋室・朝食付き |
表の下の行は気をつけて読んでください。客室稼働率と延べ宿泊者数は、施設が自分でタイプを選んで答える調査の数字です。そのため、この行の「旅館」は自分で旅館と名乗っている施設のことです。
総務省統計局も、消費者物価指数で値段を調べるときに同じ分け方をしています。旅館は「和室・1泊2食付き」、ホテルは「洋室・1泊朝食付き」の値段を調べます。この2つを見ると、それぞれで何にお金を払うのかがよく分かります。
旅館の予約ページでは「1泊2食付き」という言葉をよく見かけます。これは1泊で2回の食事が付くという意味で、着いた日の夕食と翌朝の朝食を指します。

写真は典型的な旅館の部屋で、畳の床に夜の布団が敷いてあります。日本政府観光局(JNTO)の旅館のガイドには、旅館によくあるものが挙がっています。畳の床と布団、専用の風呂(露天のこともあります)です。浴衣と会席料理の夕食、和朝食もあります。JNTOの宿泊施設のガイドによると、今は布団ではなくベッドを置く旅館もあります。
2018年からの法律の決まり
日本で宿泊料を受けて人を泊めるには、旅館業法の許可が必要です。e-Govの旅館業法の条文は、旅館業を3つの種別に分けています。旅館・ホテル営業と簡易宿所営業、下宿営業です。
「旅館・ホテル営業」の定義は短いです。施設を設けて宿泊料を受けて人を泊める営業のうち、簡易宿所と下宿以外のものを指します。この条文には、旅館とホテルを分ける書き方はありません。
この統合は2017年の法改正で決まり、厚生労働省は規制緩和と説明しています。厚生労働省の2018年旅館業法改正の概要に日付が載っています。政令の公布は2018年1月31日で、施行は2018年6月15日です。観光庁の旅館業法の説明も英語で同じことを書いています。2018年6月15日から、ホテル営業と旅館営業は「旅館・ホテル営業」の1つになりました。

イラストはこの日に変わったことを示しています。それより前はホテルの客室が9m²以上、旅館の客室が7m²以上と決まっていました。ホテルは10室以上、旅館は5室以上が必要でした。この改正で最低客室数の決まりはどちらも無くなりました。
e-Govの旅館業法施行令では、今は旅館・ホテル営業のすべての客室に1つの決まりがあります。客室は7m²以上で、ベッドを置く客室は9m²以上です。この施行令には畳や布団、食事のことは何も書かれていません。
ホステルやペンションと多くのゲストハウスは「簡易宿所営業」の許可を使っています。こちらには別の決まりがあります。客室の延床面積は33m²以上が必要です。宿泊者を10人未満として申請する場合は、1人あたり3.3m²以上です。
つまり看板に旅館と書くかホテルと書くかは経営者が決めます。同じ通りにある旅館とホテルが、まったく同じ許可を持っていることもあります。宿を比べるときは予約ページの部屋のタイプと食事のプランを見て、名前は目安と考えてください。

日本には旅館とホテルがいくつあるか
厚生労働省は2018年3月まで旅館とホテルを別々に数えていました。厚生労働省「衛生行政報告例」2017年度の旅館業の表が、2つの行に分かれた最後の表です。2017年度末の時点で、旅館が38,622施設(688,342室)、ホテルが10,402施設(907,500室)ありました。
施設の数は旅館の方が多く、客室の合計はホテルの方が多かったです。この流れは何年も前から続いていました。旅館は2014年度の41,899施設から2017年度の38,622施設へ減りました。同じ期間にホテルは9,879施設から10,402施設へ増えています。
統合のあとは、2つの数が1つの行にまとまりました。厚生労働省「衛生行政報告例」2018年度結果にはこの変更の注があります。2017年度以前の「旅館・ホテル営業」の数は、以前の2つの数を合計したものです。
厚生労働省「衛生行政報告例」2024年度の旅館業の表に最新の数が載っています。2024年度末(2025年3月31日)の時点で、旅館・ホテル営業は52,946施設(客室1,780,679室)でした。簡易宿所営業は44,901施設で、下宿営業は491施設です。旅館業の許可を持つ施設は合計98,338施設になります。旅館・ホテル営業は前の年より3.7%増え、簡易宿所営業は7.1%増えました。
客室稼働率を見ると、施設数とは違うことが分かります。観光庁「宿泊旅行統計調査」2025年のまとめによると、2025年の客室稼働率は全体で61.6%でした。グラフはこの数字を施設タイプ別に分けたものです。

| 項目 | 値 |
|---|---|
| ビジネスホテル | 75.3 % |
| シティホテル | 74.1 % |
| 全宿泊施設 | 61.6 % |
| リゾートホテル | 56.9 % |
| 旅館 | 38.2 % |
| 簡易宿所 | 29.6 % |
客室稼働率はビジネスホテルが75.3%、シティホテルが74.1%でした。リゾートホテルは56.9%でした。旅館は38.2%で、簡易宿所は29.6%です。
この調査では、各施設がいちばん当てはまると思うタイプを自分で選びます。選択肢は「旅館」「リゾートホテル」「ビジネスホテル」「シティホテル」「簡易宿所」「会社・団体の宿泊所」です。旅館の全国の稼働率が低いのは、旅館全体の話です。箱根のある1軒の旅館に泊まりたい日の空室があるかどうかは、この数字では分かりません。旅行する月の混み具合を確かめてください。

外国人は実際どこに泊まっているか
確定値によると、2025年の外国人延べ宿泊者数は1億7,992万人泊でした。2024年より9.4%、2019年より55.6%増えています。
観光庁「宿泊旅行統計調査」2025年確定値の表は、この延べ宿泊者数を施設タイプ別に分けています。ビジネスホテルは78,366,460人泊(43.6%)でした。シティホテルは49,288,560人泊(27.4%)で、リゾートホテルは14,922,400人泊(8.3%)です。旅館は10,276,160人泊(5.7%)で、簡易宿所は7,643,950人泊(4.2%)でした。

| 項目 | 値 | 内訳 |
|---|---|---|
| ビジネスホテル | 43.6 % | 78,366,460人泊 |
| シティホテル | 27.4 % | 49,288,560人泊 |
| リゾートホテル | 8.3 % | 14,922,400人泊 |
| 旅館 | 5.7 % | 10,276,160人泊 |
| 簡易宿所 | 4.2 % | 7,643,950人泊 |
グラフはこの割合を並べたものです。
この表の施設タイプも、各施設が自分で選んだものです。旅館とホテルの境目は入口の看板と同じで、経営者が付けた名前で決まります。

写真は東京の通りに建つ新しいホテルです。外国人延べ宿泊者数でいちばん大きな割合を占めるのが、こうしたホテルです。最初の夜は東京駅の近くですか?このサイトの羽田空港から東京駅のページでは、いちばん早い行き方を載せています。京急線とJRで約33分かかり、料金は540円です。品川か浜松町で1回乗り換えます。
旅館と温泉の違い:畳と布団、温泉のお風呂
旅館と温泉の違いを調べる人は多いですが、どちらかを選ぶ必要はありません。温泉は湧き出るお湯か、そのお湯を引いたお風呂のことです。旅館は宿のことです。
JNTOの温泉の入り方とマナーのガイドは、天然の温泉を中心にできた温泉街として山形県の銀山温泉と神奈川県の箱根を挙げています。どちらも旅館に泊まれます。同じガイドによると、多くの街には日帰りの温泉もあります。泊まらなくても温泉に入れます。
JNTOの旅館のガイドには、ほとんどの旅館に温泉があると書かれています。宿泊施設のガイドによると、天然温泉のお風呂がある旅館は多いです。高級な旅館には、部屋に専用の温泉が付いているところもあります。
旅館の一泊は3つに分けられます。1つ目は部屋です。畳の床に布団が敷かれ、館内で着る浴衣も用意されています。室内で靴を脱ぐことや温泉の入り方、浴衣の着方は宿の人が教えてくれます。
2つ目は食事です。旅館に泊まると、たいてい会席料理の夕食が付きます。地元の旬の食材で作り、何品も順に出てくる正式な料理です。翌朝には昔ながらの和朝食が出ます。食べる場所は旅館によって食事処か自分の部屋です。食事の付かない素泊まりができる旅館もあります。

写真は、お盆にのせて順に出される会席料理の夕食です。
3つ目はお風呂と入湯税です。地方税法では、鉱泉浴場がある市町村は入湯客に入湯税をかけます。標準の税率は1人1日150円です。総務省の入湯税のページは、だれが税を集めるかを説明しています。旅館などが宿泊客から集めて、市町村に納めます。JNTOによると額は地域で違いますが、たいてい150円ほどです。
旅館の一泊の値段のデータは多くありません。総務省統計局「小売物価統計調査」2021年の宿泊料が、記録に残る最後の全国平均です。2021年は大人2人で1部屋に泊まると、平日の1泊2食付きで1人18,470円でした。休前日は1人21,740円でした。
総務省統計局の小売物価統計調査の案内ページによると、宿泊料の調査は2021年12月で中止になりました。この2つの数字は今の料金ではなく、2021年の参考として見てください。今の料金と食事、入浴のマナーはこのサイトの旅館のページを見てください。タトゥーがある場合は、予約する前にこのサイトのタトゥーOKの温泉のページを確かめてください。

旅館かホテルか:どちらを予約するか
看板の名前ではなく、その夜に何を求めるかで決めてください。下のフローチャートは2つの質問で選びます。

1つ目は、泊まる場所で夕食と温泉を楽しみたいかどうかです。そうでなければホテルが合います。2つ目は、箱根のような温泉街での1泊かどうかです。そうなら旅館を予約してください。1週間かけて街を回るなら、ホテルを拠点にして途中で1回だけ旅館に1泊してください。
東京の旅に温泉の1泊を足すなら、いちばん行きやすいのが箱根です。このサイトの東京から箱根のページでは、3つの行き方を比べています。小田急ロマンスカーなら、新宿駅から1時間24分で2,470円です。小田急の快速急行と箱根登山電車なら、乗車時間は1時間40分で1,270円です。東海道新幹線のこだまと箱根登山電車なら、東京駅から乗車時間46分で4,170円です。
羽田空港に着いてそのまま旅館へ向かう場合は、羽田空港から箱根のページを見てください。箱根に着いたら箱根フリーパスが使えます。小田原から2日間で6,000円で、子どもは1,500円です。ロマンスカーに乗るときは、フリーパスとは別に特急券が必要です。
京都からなら、温泉の1泊の定番は城崎温泉です。このサイトの京都から城崎温泉のページでは、特急きのさきが2時間20分で指定席5,370円です。最終列車は京都駅を19時28分に出ます。夕食の前に着くように計画してください。

写真はJNTOが挙げている温泉街の1つで、山形県の銀山温泉です。川沿いに木造の旅館が並んでいます。旅館に泊まるなら、こういう場所がいちばん合っています。
ホテルが合うのは別の旅の形です。街から街へ移りながら何泊もしますか?朝食付きの部屋で足りるなら、ホテルが合っています。ホテルから旅館へ移る日は、手荷物の配送サービスでスーツケースを先に送ってください。手元には1泊分の荷物だけを持てば身軽です。
料金の表示も確かめてください。JNTOの宿泊施設のガイドによると、2019年10月1日から宿泊料には10%の消費税がかかります。市によっては、金額が段階で決まった宿泊税もかかります。こうした税は、たいてい表示の料金に入っています。このサイトの日本のホテルの税金のページに市ごとの税額があります。温泉のある宿では、入湯税もかかることが多いです。
このサイトの箱根の月別ガイドと草津温泉の月別ガイドのページは、時期を決めるのに役立ちます。観光庁のデータから、2025年の月ごとの宿の埋まり具合を載せています。
民宿と民泊、宿坊
選べるのは旅館とホテルだけではありません。JNTOの民宿とゲストハウスのガイドによると、民宿は家族で営む宿です。宿の人の自宅の部屋を、手頃な料金で貸しています。リゾートや観光地に近い地方にあることが多く、朝食付きの小さな宿に近い形です。畳と布団が多く、風呂は共用です。朝は自分で布団を片づけることが多いです。
民泊は、住宅宿泊事業法にもとづいて旅行者に貸す個人の住宅です。観光庁の住宅宿泊事業法の概要では、人を泊める日数の上限を年間180日としています。旅館業法の許可を持つ宿には、営業日数の上限はありません。
厚生労働省の民泊サービスのページによると、民泊をするには次の3つのどれかの手続きが必要です。1つ目は旅館業法の許可で、2つ目は住宅宿泊事業法の届出です。3つ目は国家戦略特区法の認定です。どの手続きもせずに貸している住宅は違法民泊です。このサイトのゲストハウス・ホステル・民泊のページでは、物件の確かめ方を説明しています。
お寺に泊まる宿坊も4つ目の選択肢で、精進料理と朝のお勤めがあります。このサイトの宿坊のページでは、宿坊に泊まれる場所でいちばん有名な高野山を紹介しています。
旅館とホテル、日本在住の98人の答え
2026年10月13〜14日に、日本在住の人へ旅の選び方32項目のネット調査をしました。130人が答えました。機械で書いたような回答・日本の外からの1件・食い違う回答の大半を除き、98人ぶんを集計しています。下の割合は、ほかの人数を書いていない所ではこの98人の中での割合です。日本を旅行する人全体の割合ではありません。32項目の結果と聞き方はこちら。
国内旅行で泊まるのは、旅館かどちらかといえば旅館が29.6%(29人)、ホテルかどちらかといえばホテルが22.4%(22人)でした。48.0%(47人)は時と場合によると答えています。旅館を選ぶ理由で多かったのは、温泉(72.4%)、宿での夕食と朝食(58.2%)、景色や庭(36.7%)です。ホテルを選ぶ理由では、ベッドで眠れること(56.1%)、料金が安いこと(43.9%)、好きな場所で食事できること(38.8%)でした。
85.7%(84人)は、日本に来る友だちに旅館への1泊をすすめると答えました。23.5%(23人)は「絶対すすめる」、62.2%(61人)は「予算が合えばすすめる」でした。夕食と朝食つきの1泊なら、79.6%(78人)が1人20,000円までと答えました。いちばん多かったのは1人15,000円まで(37.8%)です。
「日本っぽさを宿泊先で味わいたいなら旅館。観光で味わいたいならホテル。」
— 20代女性、中部
「迷ったらホテル。旅館は独特」
— 40代男性、北海道



よくある質問
旅館と温泉は同じですか?
違います。温泉は湧き出るお湯か、そのお湯を引いたお風呂のことです。旅館は昔ながらの日本の宿です。JNTOによると、ほとんどの旅館には温泉があります。箱根や銀山温泉のような温泉街は、温泉を中心にできた町です。多くの街には、泊まらなくても入れる日帰りの温泉もあります。
旅館は法律上ホテルと同じですか?
同じです。2018年6月15日から、旅館とホテルは旅館業法で「旅館・ホテル営業」という1つの区分になりました。それより前は別々の許可で、客室の最低面積と最低客室数も違っていました。今は旅館と名乗るかホテルと名乗るかを経営者が決めます。
夕食なしで旅館に泊まれますか?
泊まれる旅館もあります。JNTOによると、たいていは会席料理の夕食と和朝食が付きます。ただ、素泊まりができる旅館もあります。予約のときに素泊まりのプランを探してください。夕食は町で自由に食べられます。
旅館は民宿や民泊とどう違いますか?
民宿は宿の人の自宅で家族が営む宿です。風呂は共用のことが多く、布団はふつう自分で片づけます。民泊は住宅宿泊事業法にもとづいて貸す個人の住宅で、年間180日までの上限があります。旅館は旅館・ホテル営業の許可を持ち、たいてい夕食と朝食が付きます。



